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嵐の吹き荒れた日
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    年が
    明けた
    1月8日




    朝から
    強風が
    吹き荒れた




    加古川の
    保育園の餅つきの
    撮影依頼を受け




    高速道路を
    西へと
    車を走らせた




    しばらく
    走っていると




    お袋から
    LINEが来た




    「お父さんがもうアカンかも」




    正月
    実家に帰った時




    ベッドから
    体を起こすことも
    出来ないまま




    もう
    長くは無いと
    頭の半分で覚悟してた




    「加古川の仕事を終えたら行くようにするわ」




    そう
    返信しながら




    これから
    正月明けの仕事が
    続いてることを恨んだ




    加古川の
    インターを降りて
    直ぐに




    警報が出たので
    餅つきの延期の
    連絡が入る




    とんぼ返りで
    家へ戻る




    一応
    三日分の
    着替えと




    仕事にも
    向かえるように
    カメラ機材を車に乗せ




    実家へ
    車を走らせた




    途中
    国道は大渋滞




    今まで
    心配や迷惑を
    掛けっ放し




    少しは
    安心してくれてたら




    死に目に
    間に合わない




    いや
    やっぱり
    心配だったら




    死に目に
    間に合う




    そんな風に
    考えると




    大渋滞も
    イライラせずに
    運転出来た




    午後12時前
    実家に到着




    親父の寝室を
    覗くと




    半開きの目
    半開きの口




    「目が乾かんのかな?」




    お袋が
    親父の顔を
    覗き込みながら呟く




    何とか
    死に目に
    間に合った




    って
    ことは




    やっぱり
    バカ息子のこと
    心配なんやなぁ・・・




    「親父っ!」




    呼び掛けても
    反応はない




    5秒おきに
    小さな呼吸を
    繰り返す




    「先生が息が止まったら時間を見といてって言うてたよ」




    お袋は
    そう言いながら
    寝室から出て行った




    半開きの目に
    光は無い




    そんな親父を
    見つめながら




    小さな呼吸を
    数える




    今まで




    どれだけ
    心配かけてきたか




    どれだけ
    失望させてきたか




    結局
    最後まで




    親父に
    安心して貰うことも
    出来ないまま




    それを
    謝りながら




    そして




    これからも
    カメラマンで
    頑張っていくよ




    だから
    もう




    天国へ
    行っても良いよ




    天国から
    見守っててよ




    知らぬ間に
    涙と鼻水が
    溢れてきてた




    その間も
    半開きの
    目と口は動かず




    小さな呼吸を
    5秒おきくらいに




    ひとつ
    また
    ひとつ




    それを




    鼻水ダラダラ
    涙がポロポロの
    バカ息子は見つめる




    しかし
    この状態が
    いつまで続くのだろう




    明日も
    今日延期になった
    餅つきの撮影がある




    撮影依頼会社にも
    連絡を入れなければ




    ・・・




    何だか
    息をひきとるのを
    待ってる感じ




    寝室を出て
    お袋の居る
    リビングへ




    「あんた昼ご飯はラーメンで良い?」(お袋)

    「そうやなぁ・・・」(たにやん)

    「二人前か?」(お袋)

    「そうやなぁ・・・」(たにやん)




    親父が
    息をひきとる
    時間によって




    明日以降の仕事や
    市役所に提出する書類など




    これからの
    行動が流動的に
    なってしまう




    どうすれば
    良いものやら




    そんな話を
    お袋と喋る




    それは
    ほんの




    5分程度の
    時間









    親父の眠る
    寝室へ戻ると




    先ほどまで
    5秒おきの呼吸が




    ひとつ




    ・・・




    あれ?
    止まった?




    10秒くらいして
    またひとつ




    ・・・




    あれ?
    今度こそ?




    「親父っ!」

    「親父っ!!」




    思い出したかのように
    またひとつ




    「お袋っ! 親父の息と息の間が長くなってきた!」(たにやん)

    「そう? ラーメンは食べるんよね?」(お袋)

    「いや 今直ぐは・・・」(たにやん)

    「息が止まったら時間見といてよ」(お袋)




    薄暗い部屋の
    ベッドの中




    親父の半開きの目が
    ゆっくりと閉じていく




    「親父っ!」




    すると
    半開きの口の中で
    舌が動く




    イビキのような
    声を発して




    何かを
    言おうと
    してるようだ




    「親父っ!」

    「親父っ!!」




    閉じていた目が
    ゆっくりと開き




    そこで
    瞼が止まる





    ビデオを
    停止したかのように




    親父の呼吸が
    止まった





    94年の
    親父の人生の
    終わった瞬間だった




    「お袋っ!親父の息が止まったぁ・・・」(たにやん)

    「ラーメンのお湯が沸いたのに」(お袋)

    「時間は・・時間は12時33分やわ!」(たにやん)

    「ラーメンはどうする?」(お袋)




    お袋が
    親父の寝室に
    入ってきた




    「ラーメンは後で良いか?」(お袋)

    「今はまだ食べられへんよ」(たにやん)




    お袋が
    親父の
    半開きの口を




    ポンと
    叩いて
    閉じさせ




    「うん 良い顔になったね」(お袋)

    「いやぁ そんな勢いよくせんでも」(たにやん)




    とにかく
    病院の先生に
    連絡を入れると




    直ぐに
    来てくれ




    「ご臨終です」




    看護師さん達が
    親父の体を綺麗に
    してくれた




    死亡診断書を
    書いてくれて
    帰っていった




    「死亡診断書を市役所に届けに行く?ラーメン食べる?」(お袋)

    「先に市役所に行こうか?」(たにやん)




    まだ
    何かを喋ろうとすると
    嗚咽が洩れ




    涙と鼻水の
    大洪水が
    発生するので




    出来るだけ
    お袋と目を合わさず




    市役所に
    行く準備を始める




    市役所の
    カウンターで
    死亡診断書を提出




    係りの人が
    死亡時間を見て
    二度見して




    ビックリした顔で

    「亡くなられたのは 先ほどですよね?」(係りの人)

    「そうですよ」(お袋)




    市役所の柱に
    ピースボートのポスターを
    見つけて




    「あれに申し込もうかしら」(お袋)

    「それも良いかもねぇ」(たにやん)




    お袋も
    80歳を過ぎ




    親父の介護で
    窮屈な思いもした




    「まだこれからも羽ばたくよ」(お袋)




    流石は
    お袋だなぁ






    翌日
    延期になった
    加古川の保育園へ



    仲良しの先生が

    「昨日中止って何処で知ったんですか?」(先生)

    「加古川付近まで来てたんですよ」(たにやん)

    「それから帰って何をしてたんですか?」(先生)

    「実は・・・」(たにやん)




    昨日の
    とんぼ返りの後の
    親父のことを話すと




    先生も
    目をウルウルさせ
    俯いた




    「もし僕の後ろをお爺さんが歩いてたら・・・」(たにやん)

    「え??・・・」(先生)

    「それはうちの親父やから怖がらないでね」(たにやん)

    「えぇ〜?」(先生)

    「親父も僕と同じで可愛い子ちゃんが好きやから」(たにやん)

    「・・・!!」(先生)

    「先生に近づいて行くかもよっ!」(たにやん)

    「へっ?!」(先生)

    「そん時はごめんねぇ!」(たにやん)






    あぁ
    またこんな冗談
    言いながら




    仕事を
    してたら




    天国の親父は
    心配で仕方無いかもなぁ







    【 夢を紡ぐお手伝い 】
    写真家たにやん

    https://www.tanioyaji-photo.com/


























     
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